海外で育む日本語

海外で、日本語以外の言語で教育を受けて育つ子供たちは日本語に頻繁に触れて使う環境にいないため、日本語の力をつけるのに親子で大変苦労しています。

日本に帰国して日本の学校に行くわけではない場合、本人も

「どうして日本語を勉強しないといけないの?」

「漢字が書けなくてもいいじゃん」

「日本語全然使わないのに」

と日本語を勉強しない理由はたくさん見つかる一方、日本語をなぜ勉強するのかという理由にはなかなか納得がいきません。

 

小さいうちはそれでも親の言うことを聞きますが、9歳、10歳にもなるとなかなかそうもいかず、また、現地校との両立が難しくなっていくために日本語の勉強から離れてしまう

親は教師になってはいけない?

多くの経験者に共通する認識として、「親は日本語の教師になれない、なってはいけない」があります。

本来母語はこどもたちが自然に学びとっていくもの。

母語を学ぶように言語を習得していくのが最良の方法であると言われています。

 

日本語環境の乏しい海外でいかに日本語環境を用意するかということが大切。

親は日本語の「教師」ではなく、「日本語話者」として日本語を「提供する」ことによって、こどものために豊かな日本語環境を用意するのがよいと言われています。


自然に、生きた日本語に触れる

 

家の中はすべての時間が貴重な日本語習得のチャンスになり得ます。

お母さんの昔話、絵本の読み聞かせ、日本語での話し合い。

生きた言葉に触れて心が動くことが最良の言語習得の方法ではないでしょうか。

 

こどもがドイツ語で話したとしても、それを貴重な日本語習得のチャンスに変えられます。

こどもがドイツ語で言ったことを日本語で返してあげる。それだけでも日本語の新たな語彙の獲得につながります。

 

読み書きについて

家の中では、日めくりカレンダーやポスターなど自然にひらがなやカタカナ、漢字が目に入る環境もつくれます。

お手紙ごっこ、メモ、献立、家族のスケジュール、買い物リスト、旅行計画・・・読み書きの機会は日常生活の中でいくらでもつくれます。こどもと一緒につくることで楽しく日本語に触れる。

ドリルや教材練習はもっと日本語ができるようになりたい!という気持ちが大きくなってからでも遅くありません。

 

自然に学びたくなる環境づくり

こどもは好奇心旺盛。

「面白そう」と思ったことは知りたくなる、やってみたくなる。

「できる」ことも喜んでやりたがります。

反対に「面白くないこと」、「できないこと」はやりたくありません。

 

「日本語」「国語」・・・言葉そのものを学ぶよりも

不思議!すごい!なるほど!

と心が動くこと、知的好奇心が広がることをに日本語を通じて出会うことが非常に大切です。

モチベーション

 

何よりも大切なのは、日本語を学びたいというこどもの気持ち。

日本語、日本が好き、楽しい、面白い、すごい!

そうしたポジティブな体験を通じてこどもが日本語に興味を持ち続けること。

 

だから日本語の学びは自然な形で楽しいものであるほどよいと考えます。

勉強しているつもりではなく楽しんでいたら自然に日本語の力がついた!

という体験が特に小さいうちは大切です。

 

もっと日本語を学びたい!という気持ちになれば、漢字の練習も楽しくなります。

読み書きの力は少し大きくなってからでもモチベーションがあればついてきます。

 

学校教育と言葉

意外と見過ごされがちですが、学校教育によってこどもの言葉の世界はとてつもなく広がります。

理科、社会、数学、芸術、宗教・・・

こどもたちは学校で実に多様な概念、知識と出会い、知的好奇心を刺激されます。

それは教科の学びであると同時に新しい言葉との出会いでもあるのです。

 

言葉の習得は言葉だけを学んでいても限界があります。

言葉は氷山の一角、その下には非常に大きな教養~知識と経験のベースがあるのです。

だからこそ、日本語学ぶのではなく、日本語で様々な教科を学ぶことが大切なのです。

バイリンガル教育

実際に学校で「バイリンガル教育」として行われていることはまさに、他の言語教科を学び、議論することです。

カナダではもう40年以上も前から英語とフランス語のイマージョン教育がおこなわれています。

「イマージョン」は浸すという意味。

日本語に浸って考え、新しいことを知り、話し合うことで

 

未修得の言語を身につける学習方法の一つ。没入法と言われることもある。目標とする言語の言葉だけを習うのではなく、「その言語環境で」他教科を学びその言葉に浸りきった状態(イマージョン)での言語獲得を目指す。1960年代カナダで始まり、2006年現在は世界各地の学校で導入されている。     

Wikipediaより

 


日本語仲間の大切さ

日本語でつながる仲間がいるということは大変重要です。

友人だけでなく、親以外の大人とのかかわりはこどもにとっても非常に大きな経験となります。

親、大人の関わり

日本語環境の乏しい海外で日本語の力をつけるには、親の存在、かかわりがより一層重要になります。言語とアイデンティティは密接なかかわりがあり、こどものメンタルに大きな影響を及ぼします。

 

こどもの言語は、海外では放っておいても勝手には育ちません。

社会言語と親の母語が違うからです。

 

私たち大人は、こどもたちの置かれた状況が本当にはわかりません。

こどもたちは一人で頑張っているのです。

日本人の親のもとで海外で育つということがどういうことなのか、

私たち大人社会が考え、協力してこどもたちの成長を支えることが必要です。